マツダ初のハイブリッドシステムは3代目アクセラに

2013年6月に発売された3代目アクセラにはガソリン仕様とディーゼル仕様に加え、ハイブリッドエンジン仕様もラインナップされました。

これにより「ガソリン」「ディーゼル」「ハイブリッド」の3仕様がラインナップされ、話題を呼びました。

マツダ車にハイブリッドが搭載されるのは3代目アクセラが初めて。

 

出典: マツダ公式サイトより (アクセラ)

 

ただしハイブリッドシステムは自社開発ではなく、トヨタから技術供与されたシステムを採用しています。

2017年11月現在、ハイブリッド仕様は「アクセラセダン」のみにラインナップされており、5ドアハッチバックの「アクセラスポーツ」にもハイブリッドがラインナップされるかは不明です。

ガソリンとディーゼルのラインナップが既に存在するのにもかかわらず、なぜ実績のないハイブリッドを、トヨタとライセンス契約を締結してまで導入したのでしょうか?

 

実は、最近の国内市場ではハイブリッドの人気が圧倒的に高いことが背景にあります。

燃費性能に優れるハイブリッドが圧倒的に人気のため、マツダ以外の国内主要メーカーはハイブリッドのラインナップを充実させています。

2016年の新車販売台数も1位がプリウス、2位がアクアといずれもハイブリッドであるため、ハイブリッドが優勢な国内市場の状況はしばらく続くと考えられます。

 

このような状況の中、ハイブリッドのラインナップが無いマツダは完全に出遅れた形となってしまい、販売において苦戦を強いられていました。

この市場の流れに追従するため、マツダはついに3代目アクセラでハイブリッドの導入を決めたのでした。

このアクセラハイブリッドの導入を皮切りに、マツダは他車種へのハイブリッドの展開を進めたいと考えているようです。

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トヨタのハイブリッドユニットを使いつつもマツダ流を貫いたメカニズム

前章で述べた通り、マツダはプリウスに搭載されている「THS-II」の技術供与をトヨタから受けています。

このハイブリッドシステムとスカイアクティブエンジンを組み合わせたシステム「スカイアクティブ ハイブリッド」がアクセラハイブリッドに搭載されています。

 

スカイアクティブ ハイブリッドに採用されるエンジンはハイブリッド仕様に設計された2.0L直噴エンジン「スカイアクティブ G」で、これに1台のモーターを組み合わせてシステムを構成しています。

この「スカイアクティブ G」はガソリン車では前代未聞の「圧縮比14」を実現した高効率エンジンであることでも話題を呼びました。

 

しかし、ハイブリッドシステムにはトヨタのシステムをほぼ全面的に搭載しているため、マツダの持つ独自性がどうしても薄れてしまうのが残念な点です。

ただ、ハイブリッドシステム以外の設計についてはマツダのキャラクターを全面的に押し出すための造り込みがなされました。

 

その例の1つとして「リアマルチリンクサスペンションの搭載」が挙げられます。

3代目アクセラの発表当時では3代目プリウスが最新モデルでしたが、このプリウスにはリアサスペンションに「トーションビーム式」が用いられていました。

このサスペンションは室内空間の確保やコストダウンなどに有利で、プリウスを含めて一般的に用いられる形式です。

 

それに対してアクセラでは、トーションビーム式よりも高性能な「マルチリンク式」をリアサスペンションに採用しました。

ただ、マルチリンク式はトーションビーム式よりも嵩張るため、リア床下にバッテリーを収めることが出来なくなります。

 

しかし、マツダはトランク容量をわずかに犠牲にする代わりにバッテリー位置を床下から変更することで、リアにマルチリンク式サスペンションを搭載しました。

他にも、アクセルの踏み具合に対する加速や回生ブレーキの利き具合などのセッティングなど、ドライバーの操作に対してリニアに反応するようなセッティングを意識しており、走りにこだわるマツダらしいハイブリッドに仕上がっています。
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苦戦を強いられるアクセラハイブリッド

そのようなマツダ初のハイブリッドとしてデビューしたアクセラハイブリッドですが、残念ながらセールス面では苦戦を強いられているようです。

アクセラハイブリッドの販売において不利な要素として、まず燃費が考えられます。

 

ハイブリッドの購入を検討する消費者は「燃費が優れている」という理由でハイブリッドを選択する人が多いです。

そのような消費者は走行性能よりも燃費性能を重視して車種を選択します。

 

そして、アクセラハイブリッドの燃費は他のハイブリッド車と比較して必ずしも高い数値ではありません。

自動車燃費の情報サイト「e燃費」によると、2017年11月現在の「JC08モードのカタログ燃費ランキング」では第14位と、他社のハイブリッドと比較して燃費では一歩劣ります。

 

出典: マツダ公式サイトより (アクセラ)

 

そのためアクセラハイブリッドは燃費重視の消費者に対する訴求力に欠け、これが販売不振の原因の1つと考えられます。

加えて、アクセラハイブリッドはガソリン仕様・ディーゼル仕様と比較しても人気が低いようです。

 

車の専門誌などによると、アクセラハイブリッドの2017年7月の販売台数はたったの38台とのことでした。

同月のアクセラ全体の販売台数が1,914台だったため、販売台数全体の中でハイブリッドの占める割合はたったの2%しか無かったことになります。

 

アクセラハイブリッドが他のグレードと比較して人気が無いのにはいくつかの原因が考えられます。

まず1つに、ハイブリッドモデルはセダン仕様のみにラインナップされ、エンジンも2.0Lのみと、ラインナップのバリエーションに乏しい点が考えられます。

 

また、アクセラを購入する顧客には「走りの質」を求めるユーザーが多く、そのような顧客はハイブリッドという車種そのものに魅力を感じないのではないか、とも推測されます。

そして何より、マツダ自身がハイブリッドの販売に力を入れていない可能性も考えられます。

 

2016年のビッグマイナーチェンジではガソリン仕様とディーゼル仕様に対してラインナップの見直しが行われましたが、ハイブリッドに対してはラインナップの見直しが行われませんでした。

これは、マツダがガソリン仕様とディーゼル仕様をアクセラの基幹車種と見なして、これらのラインナップの見直しを優先的に実施したためだと考えられます。

この背景として「ハイブリッド仕様の利益率がガソリン仕様とディーゼル仕様よりも劣る」という点が挙げられます。

ガソリン仕様とディーゼル仕様は生産方式の見直しによりコストダウンを実現できました。

 

対して、ハイブリッド仕様はトヨタから購入した部品をそのまま使用しているため、自社努力でコストを下げるのが難しい状況です。

その結果、ハイブリッド仕様のコストダウンが進まず、1台あたりの利益率がガソリン仕様とディーゼル仕様よりも低くなってしまう、ということです。

 

なので、利益率の低いハイブリッドの販売に力を入れるよりも、ガソリン仕様とディーゼル仕様の販売に力を入れることで利益を確保することが、マツダのアクセラに対する販売戦略なのではないか、と推測されます。

 

 

出典: マツダ公式サイトより (アクセラ)

アクセラに関しては、

こちらで詳しく書いています。

 

アクセラハイブリッド まとめ

トヨタのハイブリッドシステムを流用しつつも「マツダらしさ」を貫いたアクセラハイブリッドですが、発売から4年が経過した今、残念ながら販売台数は伸び悩んでいる状況です。

もちろんクルマとしての性能は十分備わっていますが、「ユーザーに対する訴求力に欠ける点」と「マツダ自身の販売戦略」が背景にあると考えられます。

 

アクセラハイブリッドの販売当初、マツダはハイブリッドのラインナップを充実させることを目標としていましたが、アクセラハイブリッドの販売状況を見ると、解決すべき課題は多く残っているようです。

マツダの今後のハイブリッド戦略を注目していきたいと思います。
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